勝ってはいけない?

個別指導base守山第二校吉村です。

 

守山第二校でも明富中学の生徒さん達が今週末からの中間テストに向けて、テスト対策を行っております。皆さん、普段とは少し違う顔つきで緊張感を持って取り組んでいただいております。

是非、今の努力を本番で発揮しきってほしいと思います。頑張ってください。

 

…さて、そんな勝負事に関しての考え方を少し述べてみたいと思います。

勝負に勝つということは確かに大切な経験かもしれませんが、「勝つ」というのは一瞬のことです。極端な話、ある日、ある時間だけ頑張れば、「勝つ」ことは可能です。

しかし、「負けない」というのは長期的な状態です。それこそ負けないために一生に渡って努力しなければなりません。

かの古典、徒然草にこんな内容があります。

 

 

双六の上手いといひし人に、その手立ちを問ひ侍りしかば、

「勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手か疾く負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目なりとも負くべき手につくべし。」と言ふ。

 

 

現代語に訳するなら、こうなります。

 

 

双六が上手い人にどうやって打つのかを聞けば、

「勝とうして打ってはいけません。負けないように打つんです。この手を打ったら負けるかもしれないという手を避けて、少しでも負けるのが遅くなる手を打つんです。」

と言いました。

 

ここに出てくる双六は現在のものとは違い、考えて戦うゲームで将棋や囲碁に近いものです。その道のプロが言うには、

「勝とうとするのではなく、負けないようにする。」

ということです。

「…同じことじゃないの?」と思われたかもしれません。

 

しかし例えばですが、

 

「昔はとっても成績がよかったんだ。」

「若い頃はすごい仕事をまかされていたんだ。」

 

とばかり言って今は何もしていない人は魅力的でしょうか。

おそらく、そうではありませんよね。

しかし毎日、負けないように努力している人は、それだけで十分、魅力的だと思います。

実は一度だけ勝つということはたいしたことではありません。

大切なのは負けないという姿勢を貫き通すことです。そしてそちらの方がずっとハードで重要なことですよね。

負けないようにするというのはそれだけ長期戦になっても大丈夫だという覚悟が必要です。その結果、積極的に楽しもうと思えるかもしれません。

焦って勝とうとする気持ちよりもずっと楽しいと思います。

 

たとえ勝たなくてもいいんです。

もし、失敗したとしても何度でも軌道修正しながら再チャレンジできます。

それを繰り返している限り、「負け」ではありません。

 

「負けないこと」は「勝つこと」よりずっと大切なことなのですよ。